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2023(令和5)年度 学位記授与式式辞

2024(令和6)年3月16日(土曜日)午前10時より

                                      学長 藁科 勝之

 今年の雪は、昨年の大雪から一転して少雪になり、過ごしやすくなりました。次第に雪解けが進むこの季節、弘前学院大学から、新たに若い有為な人材をお送りできることを、嬉しく思います。
 皆さん、ご卒業、おめでとうございます。
 本年度の卒業生・修了生は、以下のとおりであります。
 学部については、
  文学部―86名。そのうち英語・英米文学科37名、日本語・日本文学科49名
  社会福祉学部―社会福祉学科47名
  看護学部―看護学科63名
  以上、学部卒業生196名
 大学院については、2名。
  社会福祉学研究科0名
  文学研究科2名
  なお、外国人留学生は、2名
 学部・大学院、総計、198名の皆さんをお送りすることができました。

 しかし、新型コロナ禍は、これで丸4年が過ぎ、5年目に入ってしまっております。ただ、最近はようやく沈静化している気配が見えます。とはいうものの、未だ罹患者が出ている状況から、万が一の用心として、感染を極力排除するために、残念ながら来賓の方々のご参列を見送ることと致し、保護者・同伴者の皆様や卒業の皆さんと教職員のみの学位記授与式となりました。

 さて、このコロナと戦いの中で、こうして、今日の学位記授与式を迎えたわけですが、この間の、皆さんの努力はこれまでとは違って、並大抵ではなかったと思われます。しかし、それにもかかわらず成果をあげており、その1つは、就職状況にも現われております。

 本年度の就職率は、就職希望者に対する割合で見ると、学部学生の全体は94.5%に近く、昨年度が93%でしたので、極めて高い数字を維持しております。
 とりわけ、このコロナ禍で、社会生活上の制限がかけられているという厳しい状況だったにもかかわらず、いろいろ苦労なされたと思いますが、皆さんは頑張りましたし、また活躍もされました。
 例えば、ある学生サークルが、この稔町の町内の人たちと、大学祭の中で交流のイベントを催し、弘前の5大学で作る「大学コンソ―シアム学都ひろさき」において、優秀賞を頂いたという、快挙もあります。

 皆さんは、これから新社会人として、いろいろな方面で活躍されることを期待される人材となる訳です。

 さて、今、社会は猛烈な勢いで、変化しつつあります。人口構成、少子化・高齢化が激化して、青森県の減少率の高さは日本2番目だとされます。こうした中で、皆さんもご存じのように、SDGs(持続可能な開発目標)とか、DX(デジタル・トランスフォーメイション)という社会に向けて、新しい社会のあり方を創りあげて行かなければならないのです。
 卒業後も、さらに新しい学びが待っております。大学で学んだ知識・技能を踏まえて、社会人となった後も、新たな知識、技能、を手に入れることが必要です。社会人の学び直しが必要な時代です。人生100年時代における、生涯学習の時代です。
 その際、必要なのが、デジタルに関する知識と技能と言われます。DX(デジタル・トランスフォーメイション)という言葉がありますが、Dのデジタルは、その基礎は大学で学んだので、勉強すれば大丈夫ですが、実は日本に足りないのは、X(トランスフォーメイション)だと言われます。このXとはトランスで、「Trans」には「超える・横切る」という意味があって、これが英語の「Cross」と同じになりますが、この「Cross」には「交差する」という意味がある。クロスなのでXと書く、というわけです。
 実はこのクロスがトランスにとって大事だとされます。つまり物事を追求していく場合に、いろんな分野・領域の知識、観点などとクロスさせながら、革新的に課題解決に向かうという進め方なのです。
 さらに今では、DXだけでなく、GXという言葉もあります。GXとは「グリーン・トランスフォーメイション」と言い、カーボンニュートラル実現、いわゆる脱炭素社会のため、様々な多角的な領域と連携しながらの取組です。

 社会に出ましたら、自分だけでなく、隣の人、向こう側の人などとともに意見を交わしながら、協働(協力して働く)そして共創(共に創る)することを心がけてください。積極的な連携です。人々が生活して、社会が発展して、より豊かな環境を作り上げてゆくには、資源が必要ですが、ところが、あいにく日本には、それを作る基となる資源がほとんどありません。あると言ったら、人、人間だけです。大切なのはその人達の知恵、知恵の出し合いなのです。

 「人生100年時代」に向けて、大きな転換点を迎える中にあります。だから生涯学習の重要性はますます高まっているのだと言われるのです。
 考えてもみてください。大学を出て、あと、60年、70年の人生が待っているのです。これからが大事なのです。しかしあまり固く考える必要はありません。ただ、じっくりと自分の将来を創って行きましょう。じっくりと、かつゆっくりとで良いのです。

 終わりに、本学の建学の精神とそれに基づく教育方針を思い起こしていただきたいと思います。建学の精神では、「すべての人を大切にするの精神をもって、すべての人と社会に対する責任を、積極的に果たす」と謳っています。
 今ほど、この言葉を切実に感じる時はありません。あのパレスチナ・イスラエル戦争と、今も続くウクライナ侵攻です。あのニュースを聞くと、他人事ではありません。
 「畏神愛人」は単なる謳い文句ではありません。ニュースを耳にするたびに、これがいかに大切なものであるかが分かります。
 どうか、これを胸に刻んで旅立ってくださるよう祈ります。

 ともに頑張りましょう。
 改めて、卒業おめでとうございます。
   

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